【考察】『君たちはどう生きるか』インコたちが掲げる「DUCH」の意味とは?〜大王を称える不思議なプラカードの真相〜

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スタジオジブリ作品『君たちはどう生きるか』。
作中には、強烈な印象を残す“インコたち”のシーンがいくつか登場します。

その中でも特に異彩を放っていたのが、インコたちが掲げる「DUCH」と書かれたプラカード
眞人(まひと)たちが産小屋に侵入した際、インコたちが一斉にこのプラカードを振りかざして抗議(あるいは忠誠心?)を示す姿は、観た人の脳裏に焼き付きますよね。

この記事では、この「DUCH」の意味や背景に込められた意図について、分かりやすく考察していきます。


目次

▼ 「DUCH」=指導者?意味はイタリア語の“Duce”が由来?

まず「DUCH」という語ですが、これは明確にイタリア語の「Duce(ドゥーチェ)」をもじったものとされています。

  • 「Duce」とは、指導者・統率者・頭領を意味する言葉。
  • 特に、20世紀イタリアの独裁者ベニート・ムッソリーニが自らを「Il Duce(我が頭領)」と名乗っていたことで有名。

つまり、「DUCH」は映画内での造語ながらも、現実世界の「Duce」との類似性を持たせた権威や独裁者を象徴する言葉であると読み取れます。

補足:宮崎駿監督の絵コンテにも「DUCH!とは頭領の意(イタリア語)」と明記されていると言われています。


▼ インコたちはなぜ「DUCH」を掲げたのか?

シーンとしては、眞人とヒロインがインコたちの「産小屋」に足を踏み入れたときに、インコたちが怒りながらプラカードを掲げる場面。

  • 「DUCH」のプラカード=インコ大王への忠誠を示す標語
  • インコたちは、人間の行動に対して「冒涜だ!」「大王への侮辱だ!」といった態度をとる

この描写は、単なるファンタジー演出ではなく、権威を盲目的に崇拝する民衆のパロディや風刺と考えられています。


▼ インコたちは“模倣する存在”=現代の大衆のメタファー?

インコは本来、人の言葉を「真似」する鳥です。
劇中でもインコたちは人間の言葉を使いますが、それを「意味」として理解している様子はあまり見られません。

この特徴は、次のような象徴にもなっています:

  • 情報を“鵜呑み”にする人々
  • 本質を理解せずスローガンだけを叫ぶ群衆
  • 反射的に権威を支持する大衆

つまり、「DUCH!DUCH!」とプラカードを掲げるインコたちは、現実の社会で権力や情報に盲従する私たち人間そのものの風刺かもしれません。


▼ まとめ:インコたちは「笑える存在」ではなく「鋭い皮肉」だった?

映画『君たちはどう生きるか』は、表面的には幻想的なファンタジーでありながら、ところどころに現代社会への風刺や哲学的メッセージが織り込まれています。

「DUCH」のシーンもその一つ。

  • プラカードに書かれた奇妙な言葉
  • 理解せずに従うインコたち
  • インコ大王という絶対的存在

これらはすべて、現代の「指導者と民衆」のあり方に対する痛烈な皮肉であり、宮崎駿監督が私たちに投げかける問いかけなのかもしれません。

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